昨年からずっと気になっていて読めてなかった本書を、今年最初の読書に選びました。
エンジニアリングマネージャ界隈で紹介されることが多いのでマネジメントに特化した本かと思っていましたが、読んでみるとそんなことはなく、エンジニアリング組織に関わるすべての人に読んでもらいたくなるような良書でした。

目次

1章 思考のリファクタリング
2章 メンタリングの技術
3章 アジャイルなチームの原理
4章 学習するチームと不確実性マネジメント
5章 技術組織の力学とアーキテクチャ

1章は個人、2章は個人対個人、3章と4章はチーム、5章は組織と章を追うごとに範囲を広げていきますが、終始「不確実性の削減」という一貫したテーマで語られています。

  • エンジニアリングとは「不確実性」に向き合い、ものごとを「実現」することである
  • 「不確実性」とは未来と他人の考えていることのように「分からないこと」から生まれる
  • 「情報」によって「不確実性」を観測できる形に変えることができれば不安は競争力に変わる

どれだけ「不確実性」って言葉が出てくるんだ(笑)と思えるほど終始語られています。 以下、自分が大事だと思っていて何度も読み返したい箇所をメモっていきます。

思考のリファクタリング

「はじめに」で、『問題解決のためには、コードだけでなく、人々の思考・組織・ビジネスの「構造」こそリファクタリングが必要で、それがエンジニアリングの本質』だと筆者は言っています。

経験主義と仮説思考

経験主義:「情報」を入手するために行動を起こして、それを観察し、そこから問題解決を行うこと 仮説思考:限定された「情報」であっても、そこから全体像を想定し、そこから問題解決を行うこと

この2つは「アジャイル」や「リーン」といった現代的なソフトウェア開発プロセスの基礎的な価値観となっている。

論理的思考の盲点

人間は事実を100%正しく理解することはできない、という前提に立って物事を考える必要がある。 また認知フレームという枠組みの中でしか情報を処理できない。メンタリングによりその枠組みを変えることを「リフレーミング」と呼び、それによって解けない問題を解けるようにしていく。

メンタリング

メンタリング は、「自ら考える人材」自立型人材を作るテクニックだと筆者は言っています。
個人の素性が大きいとは思ってますが、メンタリングの仕方によっては「指示待ち人間」を作ってしまう怖さがあるので、やり方を押し付けるのではなく自分で考えてもらうことが大事なのかなと。
他者説得より自己説得なので、見えてない課題に自分で気づかせるが重要とも言っています。
メンターが正解と思えることを教えても、メンティーは腹落ちせずに身にならないというケースはよくあると思います。 「1:1」でのメンタリングのテクニックが染み付いていなければ、「1:多」でのチームマネジメントをうまく進めていくことは難いでしょう。 「能力は習慣の積分、習慣は行動の積分」良い言葉。使っていきたい。

ところでメンタリングというのは子育てにも通じるものがあるなーと感じていて、 親が良いと思うことを押し付けても子供は反発するし、自分で考える癖を早いうちからつけさせたいと思いました。

おわりに

ちょっと読むのが難解な本なのかなと構えていましたが、論旨が終始一貫しておりストレスなく読みやすい本でした(論理的な飛躍が大きかったり破綻していると読むのに非常に疲れるので) 「不確実性」に向き合うという観点で書かれた本書を読むことで、現代の開発手法であるスクラムやマイクロサービスに到った課程が腑に落ちました。
また、エンジニアは「要件が曖昧すぎて対応できない」とかよく言いますが、そもそもそういうものに立ち向かっていく仕事なのだということを再認識させてくれました。